訳あり物件は、通常の不動産よりも大幅に価値が下がってしまうため、処分に困っている方や本当に売れるのか不安に思っている方も多くいるのではないでしょうか?
私は、これまで数多くの中古住宅の売買をしてきましたが、当然「訳あり」と言われる物件にも出会っています。その多くは居住者に大きな過失がなく、予期せぬトラブルが原因で訳ありとなってしまっています。瑕疵の種類や程度にもよりますが、売り出してから4、5年かかっても売却できていないといったケースもありました。
そもそも、どういう物件が「訳あり」とされるのか、訳あり物件でも高く売る方法はあるのか、という疑問をもった方に向けて、この記事を書いていきます。
対策方法もしっかり書いておきますので最後まで見て頂けたらと思います。
訳あり物件とは?
訳あり物件に明確な定義はありませんが、瑕疵(かし)があり一般的にマイナスになってしまうような要素がある物件を指します。中古住宅の場合よっぽど管理状態が良くない限り、雨漏りや傾きなど軽微な瑕疵は存在します。
※瑕疵とは、造成不良や設備の故障など、取引の目的である土地・建物に何らかの欠陥があることをいいます。
私の経験上、7割以上の中古住宅(リフォーム前)に軽微な瑕疵がありました。
軽微な瑕疵ではなく重大な瑕疵がある場合は、訳あり物件とされることが多いです。ここからは、いわゆる重大な瑕疵と思われる事例をいくつかご紹介します。
- 物理的瑕疵物件
- 法的瑕疵(法律的瑕疵)
- 心理的瑕疵物件
- 環境的瑕疵物件
心理的瑕疵による訳あり物件
心理的瑕疵とは、住む人にとって心理的に抵抗や嫌悪を感じるような瑕疵を指します。人によって嫌悪を感じるポイントはさまざまありますが、不動産における代表的な心理的瑕疵は「自殺や殺人事件」が起こったケースです。
特に悪質で残虐な事件が物件内で起こった場合や、殺人事件が物件内で起こった場合は、買い手にとって気分も良くないですし、近所の噂になっていることが多いため中々売れません。そのほかにも、家の横に墓地があったり、暴力団の事務所が近くにある場合は、心理的瑕疵ありの物件として買い手から避けられる傾向にあるため、訳あり物件とされます。
どこまでが心理的瑕疵に該当するか気になる方はこちらをご覧ください。「全日本不動産協会 不動産保証協会 宅建業コラム 心理的瑕疵物件どこまで告知義務がある?新ガイドラインをわかりやすくご紹介」
法的瑕疵(法律的瑕疵)による訳あり物件
法的瑕疵とは、対象の不動産に法律的な問題のある欠陥のことをいいます。不動産はさまざまな法律で制限をされており、代表的な法律は「都市計画法」「建築基準法」「消防法」があります。これら法律の要件を満たせず売買に支障が出るような物件は、訳あり物件と言えるでしょう。
具体的には以下のようなケースは法的瑕疵に該当します。
- 定められている建坪率または容積率を超えている
- 接道義務を満たしていない
- 開発行為が認められない市街化調整区域内に建てている
最近建築された物件はこれらの条件をすべて満たしている可能性が高くほぼ該当しません。しかし中古住宅は意外にも法的瑕疵を持つ物件が多く、とくに築年数が古い物件や都市部から外れた田舎町、現在は潰れてしまっている工務店が建築した物件などによく見られます。
理由はさまざまありますが、建築した数年後に法律が変わったケース、法律が厳しくない時代に工務店がわかっていて建築したケースなども良くあるパターンです。
物理的瑕疵物件による訳あり物件
物理的瑕疵とは、建物や土地そのものに重大な破損や欠陥がある物件です。建物においては、雨漏りや傾き、シロアリによる被害が該当し、土地においては、地盤地下、土壌汚染、地中にゴミがあるケースなどが該当します。
軽微な雨漏りやシロアリ被害であれば、修理費も高くはつかないためリフォーム費用を買主売主どちらかが負担して取引がスムーズに行われます。しかし、おなじ瑕疵でも以下のようなケースは重大で非常に売りづらくなるため訳あり物件とされるでしょう。
- 雨漏りの範囲が広く木部の腐敗が進んでいる
- シロアリ被害が構造上重要な躯体にまで及んでいる
- 地盤沈下が著しくかつ軟弱な土地である
これらの場合は、大幅な改修もしくは建て替えをしなければならないこともあり売主側としてもツラいケースです。雨漏りの見つけ方についてはこちらに記載してますので合わせてご覧ください。
関連記事:【中古で買った家がさっそく雨漏り。。】原因と対応策をわかりやすく解説します
環境的瑕疵物件による訳あり物件
環境瑕疵とは,不動産の土地や建物そのものには問題はなくとも、その不動産の近隣建物から騒音がしたり、近くの工場や川から異臭がするなどの環境上の瑕疵です。
多少の異音や異臭であれば問題ありませんが、以下のような物件は避けられるケースがあり訳あり物件となります。
- 近くに工場があり日中は、騒音と煙が出ている
- 近くに暴力団事務所がある
- マンションやビルが立ち日当たりが全くない
この他にも、隣にごみ焼却場や廃棄物処理施設があるケース、普通の居宅だが近所に騒音を出す住民が住んでいるなどが該当します。これらのケースはお金をかけて解決できる瑕疵ではないため、許容できる限られた人にしか選ばれません。
訳あり物件が売れない(選ばれない)理由
どうして値段が安くても訳あり物件は中々売れないのでしょうか?
ここからはその理由を詳しく解説していきます。
再販がしづらいため
中古住宅を購入する人の多くは、購入後の出口価格(資産価値)も考慮して購入します。昔は新築を買って最後までその家に住み続けるという文化がありましたが、昨今では住み続ける前提ではなく、しばらく住んだら売却し、新たな中古住宅を買うといった選択をする人が増えています。
訳あり物件の場合、通常の物件と比べて安く購入することができますが、売却する際も高く売れない可能性があります。とくに環境的瑕疵や法的瑕疵に該当する訳あり物件は、お金では解決できないので築年の経過とともに価値が下落し続ける可能性があるからです。
多額のリフォーム費用がかかる可能性があるため
訳あり物件を購入する場合、多額のリフォーム費用がかかる可能性があります。軽微な雨漏りであれば部分的修繕で治すことができますが、躯体まで劣化が侵食している場合は屋根の吹き替えや構造上の躯体修繕など数百万以上かかるリフォームが必要になります。
また通常の買取業者が建坪率オーバーの物件を買い取って再度販売する場合には、減築(宅内の一部を解体して床面積を減らす工事)をする必要があり、こちらも数百万以上がかかります。
このように訳あり物件から通常の物件にするためには、多少の費用ではまかなえない可能性があるため、個人の方も業者も避ける傾向があります。
通常の買取業者でも取り扱いができない可能性があるため
訳あり物件は通常の買取業者でも取扱が難しいケースが多いです。なぜなら買取業者は再度販売する際に、利益を出す必要があります。しかし、先ほど解説したように多額のリフォーム費用がかかったり、再販価格が見合わない場合は、そもそも買取ができません。
そうなると解体して土地にして売りに出すか、すべて実費で修繕するなど、売る側に多額の現金が必要になります。
訳あり物件を少しでも高く売る方法3選
事故物件は通常の物件よりも高値で売れることは難しいです。しかし、売主の努力次第では通常の物件相場と近い金額で売却することができるかもしれません。
ここからは少しでも高値で売るための方法を解説します。
ポイント1:売る前にマイナスを解消する
売る前にマイナス部分を解消することで高く売れる可能性があります。瑕疵の内容によってはお金をかけることで解消できます。たとえば、雨漏りの場合発生している場所を特定し事前に修繕することで「雨漏り補修済み」とうたうことができるため大きなマイナスとして捉えられません。
騒音が激しい場所でも、2重冊子窓にするなどリフォームで工夫すればマイナスも抑えられます。また接道義務を満たしていない場合でも、隣の方から土地を少し購入させてもらうなどするば解消できるケースもあります。
ポイント2:物件に付加価値をつける
マイナスは消すことができなくても、付加価値をつけることで少しでも高く売れる可能性があります。たとえば、宅内で人がなくなっている物件でも床やクロスをすべて張り替えるだけで嫌悪感は大きく下がります。また、水回りを交換してあげるだけでも買い手からしたら得した気分になるので、表層のリフォームを行い付加価値をつけるということも高く売るためにできる工夫です。
ポイント3:訳あり物件専門の買取業者に依頼する
先ほど”訳あり物件の場合は買取業者も取り扱いを嫌がる“というお話をしましたが、訳あり物件の取り扱いに強い「訳あり物件買取プロ」であれば高く買い取ってもらえる可能性があります。
通常の仲介業者、買取業者とは違い「再建築不可、事故物件、接道義務を満たしていない物件」などの取り扱いに長けている会社です。株式会社AlbaLinkには、独自の再生ノウハウがあり通常の買取業者が嫌がる物件でも取り扱ってもらえて、なおかつ高値で買い取ってもらうことができます。
「取り扱いを断られた」「売れるか不安」「査定価格を知りたい」などの悩みを持っている方は、無料相談を24時間365日行っているので、ぜひ相談してみてはいかがでしょうか?
まとめ
訳あり物件とはなにか?訳あり物件を高く売る方法について解説しました。訳ありといっても人によっては問題ないと思ってもらえるケースや、安かったら承知で買うという人も中にはいます。
しかし、残念ながらそういう人は多くはいません。ましてや不動産のような場所が決まっている商品には商圏というものがあり、そのエリアで探している訳ありを許容できる人をピンポイントで見つける必要があります。そのためには数年がかかる可能性もあるので、ぜひ一度不動産会社に相談してみることをオススメします。
ではまた。
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