中古の分譲マンションは、新築に比べて値段も安く、上手く物件を選ぶことができれば新築にも劣らず快適な生活を送る事ができます。
しかし、金額や立地、ネット広告に載っている条件だけで判断してしまうと、トラブルが起きてしまうような、危ない物件もあるのが中古住宅です。
では、どんなトラブルがあるのか、事前に確認してトラブルを防ぐことができるのか、年間数百件にわたる中古住宅の売買を経験してきた筆者がお答えしますので、購入の参考にしてみてください。
ちょっと個人の偏見が入ってるかもしれないのでご容赦ください。
条件編
修繕積立金の値上がり
マンションを購入すると『修繕積立金』というものが月々発生します。厳密には、修繕積立金と管理費という2つの支払い義務が発生します。
修繕積立金とは、エレベーターやエントランスやなど共用部分を維持・修繕するために必要な資金で、毎月徴収して積み立てておくお金の事です。
また管理費とは、積立金とは違いマンションの日常的な清掃などを担う管理員の人件費等で毎月徴収するお金の事です。
- 新築時の修繕積立金が安いため大きな改修工事が必要になった場合。
- マンションの方針として、初めから増額を前提とした計画になっている場合。
- 修繕に必要な人件費や工事費自体が値上がりしている場合。
この修繕積立金、管理費は毎月必ず発生しますが、実は購入後に値上がりする可能性があるのです。
上記以外にも様々な理由で値上がりするケースはありますが、いずれもマンションを購入した以上は受け入れるしかありません。 また、倍以上の値上がりをするケースは多々あります。
購入時の資金計画から大きく外れてしまわないように、購入する前段階で、なるべく調査をした上で、資金計画を立て購入する事をお勧めします。
購入する前に確認したいポイントをまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
❶共用部分に設備が多い場合は要注意。エレベーターが3機あったり、機械式駐車場、トレーニングジム、ラウンジやゲストルームなど豪華な設備が多い場合は、管理コストや修理コストが高く値上がりしていく可能性は高いです。
❷修繕積立金が安すぎる場合は要注意。首都圏マンション1戸あたりの修繕積立金平均額は、11,071円(169円/m2)となっており、5,000円以下など安すぎる場合は注意が必要です。 ※公益財団法人 東日本不動産流通機構『首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2020年度)』参考。
❶『長期修繕計画』を確認しましょう。不動産屋の担当者に『長期修繕計画を取得してほしい』と伝えて管理会社もしくは管理組合から取得してもらいましょう。長期修繕計画書とは(資金計画)(修繕計画)(設備関係) など向こう25~30年の計画が記載されています。少し難しいですが購入前に目を通しておきましょう。
❷修繕積立金の適正額を計算しましょう。国土交通省が「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を公表しており、ここに適正金額の計算方法が載っていますので、ぜひ参考にしてみてください。
駐車場がない物件
マンション購入する際に注意したいのが駐車場の確保です。一戸建て住宅と違い必ずしも駐車場が近くにあるわけでないため、頻繁に使う人は駐車場の確保は妥協せずに慎重に行いましょう。 中には、駐車場が遠く通勤や買い物など毎日の生活に支障をきたし売却する人も・・・
駐車場はさまざまなタイプがありますが、確保したい優先順位は以下になります。
- 同マンション敷地内地下駐車場
- 同マンション敷地内平置き駐車場
- 同マンション敷地内機械式駐車場
- 近隣の月極駐車場
駐車場は 『ドアを出てから発信するまでの時間』がどのくらいかかるかで決めることで日々のストレスを減らす事ができます。 なるべく近い駐車所を選ぶようにしましょう。
❶売主に『駐車場の引き継ぎ』ができるか確認しましょう。分譲マンションの場合は、分譲時の先着順か抽選で決まります。中古で購入する場合も同マンションに駐車場が少ない場合は、抽選になるケースは多く外れてしまうと最悪のケースとして契約後に駐車場が無い!という事にもなりかねないので、事前に売主が使用している駐車場を引き継ぎできるか確認しましょう。
❷敷地内の駐車場が取れないケースを想定し、マンション周辺の月極駐車場を探して、あらかじめ空きがあるか確認しておきましょう。 リサーチを行うのに一番早いのは『現地を歩いて探す』です。ネットや車などで探すと見逃してしまう事が多くあるので、歩いて探すと『こんなところに看板があった!』と発見できるケースが多々あります。
騒音問題
マンション購入後に生活を脅かすトラブルとして『騒音問題』が挙げられます。これは事前に調査する事が難しく、購入して住み始めたあとに『こんなはずじゃなかった』と後悔するケースもあります。
また、1度の内見だけでは気にならない事が多いので下記、ポイントにアンテナを張りしっかりと確認しておきましょう。
- 人の会話:壁に耳を当てる、玄関を出て廊下に出て確認
- ペットの鳴き声:バルコニーを出て5分ほど静かに待機
- 車、電車の走行音:窓を締め切るパターン、開けたパターン両方を確認
- 店舗、工場音:平日、休日、昼、夜に現地にいき確認
- 排水、給水の音:できれば夕方以降に内覧し上下左右の帰宅がされたあとに確認
複数人で行く場合や、不動産屋がしゃべっていると気を取られて気付きません。 可能であれば静かにしてもらう時間を取りましょう。 ※静かにしてくれない不動産屋がいる場合、気付かせないために喋っている可能性あるので担当変えてもらいましょう。
建物編
日当たり、風通しが悪い
日当たり風通しは、あればいいけどなくてもいいかな・・・・という人は注意が必要です。 日当たりや風通しの良さは、洗濯物の乾きやすや心地よさだけではありません。
数多くのマンションを見てきた私からすれば、ここの重要性はかなり高いと思っています。
- 部屋がカビやすい
- カビによる健康にも悪影響
- クロスを張り替えてもカビの再発を抑えるは、ほぼ不可能
- 冬の光熱費が高くなる
- 湿気で常時部屋が臭くなる
- 結露でクロスや窓枠のシートが剥がれる
これは一例ですが、リフォーム後の中古住宅の場合は、上記のようなケースが想像しづらいので特に日当たり、風通しがよくわかる状態で内見することをお勧めします。
あまりにも酷い場合は、売りたくても売れない、想定よりも安い金額で売れてしまうなど資産価値自体にも影響してくるので十分に注意してください。
リフォームが出来ない構造だった
賃貸と違い購入する場合は、ライフスタイルに合わせて自由にリフォームできるという醍醐味があります。 しかし、構造をしっかりと確認しておかないと、いざリフォームをしようとした際にリフォーム業者から『この物件はリフォームが難しいです。。』と言われてしまうケースもあるので、事前に確認しておきたいポイントです。
- 玄関ドアの交換
- サッシの交換
- 共有配管の移設
- 外壁工事が伴う工事(エアコン穴の新設、窓の増設など)
- 間取り変更(3LDK→4LDK)
- キッチン、洗面台、トイレ等の水回り設備移設
- 窓サッシ (内窓の増設ならできるケースがあります)
- クロス(壁紙)、床(フローリング)の張り替え
- 位置変更のない水回り設備(キッチン、お風呂、トイレ、洗面)
- 室内のドア交換
- 位置変更のないコンセント、スイッチ、照明の設置
上記は、基本的なマンションなら共通している部分と言えるでしょう。自分で判断ができなくてもリフォーム業者などを現地に連れていき一緒に確認すればおおよそ出来るかどうかの判断をしてもらると思います。
マンションの共用部分がからむリフォーム事ができません。躯体と呼ばれるコンクリートで作られた壁や梁、共有で使っている配管など。そのためお風呂を広げる工事、キッチンやトイレの移動ができない、間取りの変更ができないケースがありますので注意!
外観や共用部分の状態が悪い
最後にこれは、直接的な被害というよりも『外観や共用部分の状態が悪い』から想定できることになりますので、必ずしもこれらのマンションが悪いというわけではありません。
しかし、いままで数百件の分譲マンションを購入してきた経験から少なからず当たってるケースもあるので、ぜひ参考にしてみてください。
❶管理組合もしくは管理会社の管理が悪い。 さらにここから想定されることは維持管理ができておらず、ルールも守られておらずマンション全体の統率が取れていない可能性があります。
❷マンション全体の財務状況が悪い。管理費や修繕積立金などが健全に使用されていなかったり、そもそも赤字が続いている可能性も想定されます。
❸ルールが曖昧で居住者もそれを良しとしている可能性。基本的に外観や共用部分が綺麗なマンションは住民全体の意識が高く、お互いに助け合ったり、みんなで資産価値を上げようとします。逆に汚れていたり景観が悪い場合は、注意が必要かもしれません。
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。いかがでしたでしょうか? 中古マンションは需要が高く、上手く買う事ができたら買った時よりも値段が上がっていて、むしろ利益が出たなんて事もあります。 一方で知らずに買ってしまうと、いざ売却する時に全然売れない。。という事もあります。
マンションにはマンションのメリットはたくさんありますが、だからこそマンションならではの制約などがあり、マイナス部分が発覚しても解消しづらく個人単位ではコントロールできないという点もあります。マンションならではの調査をしっかり行なった上で購入をしましょう!
戸建てバージョンの特徴をまとめた記事もあります。興味がある方は是非。
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