こんにちは。IKEOJI(イケオジ)です。
私はもともと不動産買取再販業者として長く従事しており、中古住宅売却に関する戦略については真剣に向き合っておりました。中古住宅流通における売主の課題や業界全体の課題を分析しており、今回の記事では「売主が売却時にやってはいけない(やらない方がいい)」ことをまとめます。
- 中古住宅の売主として500件以上の売買実績
- 個人でも中古住宅売買経験あり
- 1000件以上の中古住宅を調査経験あり
- 趣味はブログでこれまでの経験を発信すること
家の売却で絶対にやってはいけない10のこと
- 不動産業者1社だけに販売依頼をする
- 不具合などマイナスの部分を隠す
- 近隣の相場を調べず売りに出す
- 相場よりもかなり高く売り出す
- 専属専任媒介で売り出す
- 売却前に家をリフォーム
- 不動産会社に任せきりにしてしまう
- 過度な値引き
- 不用品を残したままにする
- 自分の希望売却価格にこだわりすぎる
これから売却する人、すでに売却活動中の方はぜひ参考にしてみてください!
基本的な内容と少し踏み込んだ内容についても触れていきます。
不動産業者1社だけに販売依頼をする
不動産を売却する場合、一般的には仲介業者を通して売却活動をします。大手仲介業者では住友不動産販売や三井のリハウスなどがありますが、売却を1社だけに依頼してしまうと販売経路が狭くなり、機会損失に繋がる可能性があります。売却を決めたら最低でも3社に話を持ちかけて複数社に販売活動をお願いしましょう。
不具合などマイナスの部分を隠す
住宅でいう不具合とは、設備不良や瑕疵のことをいいます。設備不良は給湯器や換気扇などの電気設備の故障やトイレやお風呂など水道設備などが故障している場合、設備不良とします。瑕疵とは、雨漏りやシロアリ被害など隠れた被害をさします。
これらは買主にとってはマイナスポイントになってしまいますので、できれば言いたくないという気持ちはわかりますが必ず告知しましょう。もし前向きに商談が進んだとしても契約時に「告知書」というもので設備や瑕疵における確認書を締結するため、そこで発覚したら契約破棄になる可能性が高くなります。
瑕疵について詳しく知りたい方は「中古物件の売主の瑕疵担保責任 – 公益社団法人 全日本不動産協会」
近隣の相場を調べず売りに出す
不動産には土地価格の相場、建物の相場が地域ごとにあり、いま現在売ろうとしてる皆さんの物件も相場価格があります。調べ方には以下のような方法があります。
- 仲介業者複数社に査定依頼をする
- 土地の積算価格と建物の減価償却費用を計算して導き出す
- 過去の近隣取引事例を見て判断する
相場を知った上で売却することで、下手に安売りしてしまうリスクも防ぐことができますし、売れないからといって不安にならずに済むので必ず相場を把握しておきましょう。
土地相場を調べるサイト「土地総合情報システム – 国土交通省」
中古住宅の相場を調べるサイト「土地相場を調べるサイト – 不動産流通機構 」
相場からかけ離れた価格で売り出す
相場を把握した上で重要なのは、相場からかけ離れた価格で売り出すことです。相場というのは売れる金額を保証するものではなく、あくまで判断基準のひとつです。相場よりも高く売れることはありますが、逆に低くなることもあります。
基本的には6ヶ月以内に売却を完了させることが理想です。6ヶ月以上売れないと、そこからしばらく売れない時期に入ってしまうからです。
新着物件にお客さんの目を奪われて、不動産業者の積極性もなくなり問い合わせが来るスピードが落ちてきます。
相場より高く出すということは、それなりにリスクもあるということを覚えておきましょう。
とはいえ少しでも高く売りたいというのは当たり前の話なので”相場よりも2割程度高く売り出す”というイメージを持ちましょう。あまり高く売り出してしまうと売れない期間が伸びてしまい、価格を下げても新着物件に埋もれてしまい”売れ残り物件”となってしまいます。
専属専任媒介で売り出す
専属専任媒介で売り出すことも注意が必要です。専属専任媒介とは、販売活動を依頼する仲介業者の媒介契約のひとつで「契約した不動産会社1社のみが窓口となり、売買契約もその会社のみの経路」になるという契約です。
仲介業者によっては、通常の媒介契約よりも積極的に販売活動をしてくれる可能性がありますが、営業も広告活動もその仲介担当者の能力に依存するため、リスクがかなり高まります。
媒介について詳しく知りたい方は『一般媒介契約について / 公益社団法人 全日不動産協会』に記載があります。
売却前に大規模リフォームをする
売却前に家をキレイにしておくことは必ず必要です。しかし大規模なリフォームを独断で行ってしまうと、むしろマイナスに働く可能性があります。中古住宅の購入希望者の多くは「自らリフォームを行う前提」で探しているため、自分の好みに合わないリフォームがされている場合「リフォームしていない現況の物件を安く買いたい」という気持ちになってしまいます。
たとえば買い手のためを思って200万円かけて外壁塗装をしたとしても、買い手の好みとは違い選ばれなくなります。そうなると売主からしたら「200万円をかけて物件の価値を下げた」ということに繋がりかねません。
不動産会社に任せきりにしてしまう
不動産会社が売ってくれるから。と安心して任せっきりにするのはNGです。不動産会社としても売りたいから毎日積極的に動いてくれてると思うのは大間違いです。
基本的に不動産会社は「売りやすい物件→専属や専任媒介契約を結んでいる物件→売主が売却を急いでいる物件→新着物件→通常の物件」というように優先順位を持っています。そのため売却活動に口出ししてこない売主で、とくに安いわけでも売りやすいわけでもない物件に関しては、積極的な売却活動を行いません。
多少、不動産屋に嫌われても「まだ売れないんですか?」と急かすくらいがちょうどいいと思います。あらかじめ販売を担当する不動産会社と仲良くなったり、信頼関係を気づくことも積極的に販売活動をしてくれるためにできることです。
売主は、常に売却活動に関心を持ち「掲載写真はキレイか?」「今月の案内数はどのくらいか?」などの進捗を追って不動産会社に売却への積極性をアピールしましょう。
過度な値引き
過度な値引きはNGです。過度な値引きとは販売価格に対して2割以上の値引きをすることです。不動産の慣習として「ダメ元でも値引き交渉をしてみる」というものがあり、不動産屋もそう思っています。そのため申込みが入ったからといって、すぐに値引きに応じることで本当は値引きしなくても売れるのに、無駄に負担してしまうことになりかねません。
あらかじめ申込みが入った場合は”◯割または◯円”までしか値引きに応じないという方針を決めておくことがとても重要になります。
あらかじめ決めておくことで、急に申し込みが入っても焦ることなく判断できます。またあらかじめ不動産業者と○円くらいまでなら値引きできると、口裏を合わせておくことで買主へのクロージングトークにもなりますので、事前に決めておくことをオススメします!
不用品を残したままにする
不用品を残したままにするのも基本的にはヤメた方がいいです。相続した物件や長年空き家になっていた物件などは、不用品を残したままにするケースが多いです。条件に「残置物は売主にて撤去」と書いてあっても、マイナス印象を与えることは間違いないです。
中古住宅とはいえ新生活に向けた買い物ですので、日用品やゴミが散乱していたら大抵の人は印象が悪い物件と判断し購入をヤメます。
自分の希望売却価格にこだわりすぎる
自分の希望売却価格にこだわりすぎるは最もNGなパターンです。相場や市場を度外視して販売してしまうと不動産業者も売却活動に力を入れませんし、なにより長いこと売れません。
よくあるパターンとして「新築時は◯◯万で買ったから」「この物件の住みやすさは◯万以上の価値だ」と主観的に価格を決めてしまい、そこに固執すると長年売れず「ずっと掲載されている訳あり物件」という認定がされずっと相場価格でも売れない物件になってしまいます。
家を売却するときにかかる費用
ここでは一旦、家がもし売れたらいくらかかるの?ということを解説します。なぜなら家の売却準備をする際にいくら手元に残るか計算をしながら進めないと、売却完了時に後悔することになるからです。
仲介手数料
まず不動産の売買時には、媒介に入った仲介業者に仲介手数料が発生します。仲介を挟まず直接買取業者に売却した場合にはかかりません。基本的に仲介手数料は以下の計算で算出します。
譲渡所得税・住民税
不動産売却の譲渡所得税、住民税は、不動産売却で利益が出たら払う税金です。つまり、不動産売却価格が不動産購入価格より安い時など、不動産売却で損した場合には不動産譲渡所得税、住民税は払う必要がありません。仮に利益が発生した場合は、建物の購入価格から減価償却費を差し引くなくなどの計算をして求めます。
印紙税
「印紙税」とは、印紙税法によって定められた文書を作成する際に課税される税金のことです。不動産売買においては「売買契約書」「領収書」等に貼ります。以下のように契約金額に応じて貼付する収入印紙の額は変動します。
残置物撤去等の費用
残置物とは、物件宅内に残された荷物のことです。相続などで中の荷物がそのままの状態で売却し、売主側で撤去するという契約を結んだ場合、撤去費用がかかります。
残置物撤去費用は、およそ1立方メートルあたり「5,000円~15,000円」が残置物撤去費用の相場となっています。量にもよりますが1部屋あたりだいたい5万前後が一般的な相場となっていますので、売れる前に予め見積もりを取っておきましょう。
抵当権抹消費用
抵当権抹消とは、住宅ローンを完済したあとに抵当権を抹消する手続きのことです。売却金額をもとに残っている住宅ローンを完済する場合は、抵当権抹消費用がかかります。以下のように基本的には売却する不動産の数によって変動します。
家を売る前に準備しておくこと
相続登記を済ませておく
前提として、相続人が、相続した不動産を売却するには相続登記を済ませておく必要があります。なぜなら、相続人から不動産を購入した買主が登記を自己名義にするためには、必ず「被相続人→相続人→買主」という順番で名義変更(登記移転)をする必要があるからです。
良くある失敗として”相続が完了する前に、売却活動をしたが相続に時間がかかってしまい破談”というケースは何度も見てきました。買主や不動産業者に多大な迷惑をかけるだけでなく、売却の機会損失にも繋がるので、必ず相続登記を終わらせてから売却活動を始めましょう。
家の売却相場を調べておく
これから売りに出す不動産の相場を事前に調べておくことは重要です。相場を知った上で売却することで、安売りしてしまうリスクも防ぐことができ、高すぎて見向きもされない金額で販売することもなくなります。以下のような方法で相場を調べることが良いでしょう。
- 仲介業者・買取業者複数社に査定をしてもらう
- 土地の積算価格と建物の減価償却費用を計算して導き出す
- 過去の取引事例を見る(レインズ等)
土地相場を調べるサイト「土地総合情報システム – 国土交通省」
中古住宅の相場を調べるサイト「土地相場を調べるサイト – 不動産流通機構 」
隣地との境界を明確にしておく
隣地との境界を明確にしておくことは必ず売却前に行っておきましょう。契約時に売主は”隣との土地の境界を明示する”必要があります。買主が思っていたよりも土地が狭かったり、境界について隣地と揉め事があれば当然、買主は嫌がります。
契約時の段階で、境界がハッキリせず契約が直前で破棄されることはよくあります。そうならないためにもあらかじめ確定測量や隣地との話し合いで目印をつけておくなどハッキリさせておきましょう。
まとめ
家を売るときにやってはいけないことを改めてまとめます。各見出しにリンクしますのでぜひご活用ください。他の記事でも注意点や売却のための戦略を記載してますのであわせてご覧ください。
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