住宅ローンが残っていても家は売れるのか?完済できないとダメ?引越したいんだけど・・という疑問について解説していこうと思います。私はこれまで数百件の売買に携わり、当然このようなご相談に対しても対応してきました。
そんな経験も活かしながら「住宅ローンの残債と売却」の関係性に触れていこうと思います。
- 中古住宅の売主として500件以上の売買実績
- 個人でも中古住宅売買経験あり
- 1000件以上の中古住宅を調査経験あり
- 趣味はブログでこれまでの経験を発信すること
住宅ローンが残っている家は売却できるのか
結論から言いますと、住宅ローンが残っている家でも売却活動自体は可能だが、住宅ローンを完済しないと売れません。
ただ、住宅ローンが残っていても売却活動をする人はとっても多く、私がこれまで携わってきた中古住宅の売買でも半数近くローンを残しながら売却活動をしている方達でした。
住宅ローンを完済しなければ売れない
住宅ローンが残っている場合でも、売却は可能ですが、完済しなければなりません。理由は不動産に「抵当権」という権利が登記されているからです。この抵当権がある限り売買はできない仕組みになっていて、住宅ローンを完済するとこの抵当権は抹消されます。よって住宅ローンを完済しないと売却はできないのです。
しかし売却価格(売却予定額)が住宅ローンを上回ってる場合は、引き渡し時に買い手から売買金額をもらい、そのままそのお金で完済、抵当権抹消ができます。これを同時抹消といいます。
不動産売買から抵当権が抹消されるまでの流れ
不動産売買から抵当権が抹消されるまでの流れについて解説します。
- 売買契約の締結
不動産の売買契約を締結します。売買契約には、売買対象物の詳細、価格、支払い条件、引渡し日などが含まれます。この時点では抵当権は抹消されませんが契約自体は可能です。
- 抵当権者(銀行など)への通知
売主は、不動産に設定されている銀行などの金融機関(抵当権者)に対して、売買契約を通知します。一括返済するために、売買条件や引渡し日などの情報を金融機関に伝えて返済の手続きをします。
- 不動産決済(売買代金の授受)
買主と売主の両者が銀行等へ集まり、売買代金の支払と受け取りを完了させます。買主から売買代金を受け取ったら、そのまま金融機関へ支払いを済ませて一括返済を済ませます。
- 抹消登記申請
金融機関から抵当権抹消書類が交付されるので、所有権移転とあわせて司法書士が確認し、法務局にて抵当権抹消の手続きを行います。
- 抹消登記完了
登記官が抹消登記の手続きを完了すると、不動産登記簿に抵当権が抹消されます。
ここまで小難しい流れを解説しましたが、実際の現場には「仲介業者」「司法書士」「銀行担当者」が同席したり、ここまでの工程を補助してくれるのでご安心ください。
住宅ローンが一括返済ができない場合はどうするの?
家を売却するためには住宅ローンを完済して抵当権を抹消しなければならないとお伝えしました。これまでの説明は「一括返済ができるお金がある」もしくは「売却価格が住宅ローンを上回っている」ことを前提としています。
では、どれだけ頑張っても住宅ローンを完済できない場合はどのように売却すれば良いのでしょうか?
住み替えローンの利用をする
住み替えローンとは、今住んでいる家の住宅ローンの残りと新たに購入する住宅のローンを合わせて借り入れできるローンです。つまり、新しく購入する物件のローン+今住んでいる家のローンの残りを新たに借り直して、そのお金で今住んでいるローンの残りを支払うわけです。
ただし、買い替えが前提になりますし、次のローンが増えたり、追加で融資が受けられる収入がないと合算しては借りられないので注意が必要です。
任意売却を選択する
任意売却とは、住宅ローンを返済できなくなり、なおかつ売却したとしても住宅ローンが残ってしまう物件を債権者(銀行等の借入先)の合意を得て売却する方法です。簡単にいうと”銀行と話し合って、銀行が決めた金額で売却できたら住宅ローンは完済したとみなしてくれる売却方法です。
本来であれば、住宅ローンの残額を全額用意できない場合、銀行は売却を認めてくれません。しかし、任意売却を選択して銀行と話し合い、同意を得ることができれば、売却することができます。
じゃあ任意売却にすれば問題ないじゃん!と思う方もいるかもしれませんが、しっかりとデメリットも抑えた上で選択しましょう。たとえば以下のようなデメリットがあります。
- 個人の信用情報に傷がつく
- 保証人になってくれた人に迷惑をかける
- 個人の判断だけで売却を決定できない
- 任意売却のタイムリミットを過ぎると競売
- 残債分の支払いは続く
などなど、高く売れる可能性がある人は、なるべく通常の売却をすると良いです。
住宅ローンが残ってる家を売るための準備
これから売却活動を始める方へ向けて、売却するまでに行うべき準備についてお話します。
残っている住宅ローン残高を調べる
まずは、どのくらい住宅ローンが残っているか確認する必要があります。残高が売却価格を上回っている場合、売却ができないので必ず確認しましょう。以下の方法で残高を調べることができます。
残高証明書を確認する
住宅ローンの残高を把握するためには、貸金業者から残高証明書を取得する必要があります。この証明書には、残高や返済期間、返済金額などの情報が記載されています。また、融資利率や手数料、保証料などの情報も含まれているため、売却に伴う返済にかかる費用も明確になります。
返済予定表を確認する
返済予定表は、住宅ローンの返済状況を把握するためのものです。この表を確認することで、残高だけでなく、いつまでにいくら返済する必要があるのかという情報も把握することができます。また、この表を元に、売却に伴う返済計画を立てることができます。
家の売却相場を調べておく
住宅ローンの残高を確認したら次は「いくらで売れるのか?」という目安を調べましょう。売却価格が残高を超えない場合「売らない」「貯金を崩す」などの生活プランが変わってくるため、売却を急いでいない方でも、事前に調べましょう。以下の方法で事前に調べておくことが良いでしょう。
買取業者に査定を出す
買取業者に査定を出す場合、その物件の詳細情報を提供することで、すぐに買取価格を算出してもらうことができます。買取業者によっては、住宅ローンの残高を一括返済してくれる場合もあります。
ただし、買取業者の査定額は、相場よりも低くなる場合があるため、複数の買取業者に査定を依頼し、比較することが重要です。
土地の相場から計算する
これから売りに出す不動産の相場を事前に調べておくことは重要です。相場を知った上で売却することで、安売りしてしまうリスクも防ぐことができ、高すぎて見向きもされない金額で販売することもなくなります。以下のような方法で相場を調べることが良いでしょう。
- 仲介業者・買取業者複数社に査定をしてもらう
- 土地の積算価格と建物の減価償却費用を計算して導き出す
- 過去の取引事例を見る(レインズ等)
土地相場を調べるサイト「土地総合情報システム – 国土交通省」
中古住宅の相場を調べるサイト「土地相場を調べるサイト – 不動産流通機構 」
住宅ローンが残っている家を売却する際の注意点
「売り先行」を検討する
住宅ローンが残っている家を売却する場合、ローンの残高が売却価格を上回ってしまうことがあります。そのため、売却前に買い手が決まってから売却する「売り先行」を検討することをおすすめします。売り先行は、買い手が現れるまで自分たちで住宅ローンの返済を続けることになりますが、買い手が見つかった場合はすぐに売却することができます。
売却にかかる諸費用を把握しておこう
住宅ローンが残っている家を売却する際には、売却にかかる諸費用を把握しておくことが重要です。代表的な費用としては、不動産業者への仲介手数料や契約時に必要な印紙税、登記費用、譲渡所得税などがあります。これらの費用を把握しておかないと、売却価格と実際に手元に残るお金に大きな差が出ることがあります。
- 仲介手数料
- 譲渡所得税・住民税
- 印紙税
- 残置物撤去等の費用
- 抵当権抹消費用
詳しく知りたい方は「【完全版】家の売却でやってはいけないこと10選!注意点や準備しておくことについて解説」の記事にまとめています。
住んでいる場合は引越し費用も視野にいれておく
住宅ローンが残っている家を売却する場合、買い手が見つかった後は引っ越し準備をする必要があります。引っ越し費用もバカにならないので売却前に把握しておくことが重要です。引っ越しにかかる費用は、引っ越し業者、次の賃貸の初期費用、家具家電の代金等がかかりますので、不足しないようにしましょう。
また、引っ越し先が遠くなる場合は、ガソリン代や高速道路料金もかかってきます。これらの費用を事前に予算を立てて把握しておくことで、不測の出費に備えることができます。
まとめ
今回は住宅ローンが残っていても家は売れるのか?というテーマで解説しました。ここまでの解説をまとめます。
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